介護業界において、一つの目途となる資格が介護福祉士です。
これは介護業界の国家資格であり、この資格を持つことで
プロと見なされる訳ですね。
というのも受験資格だけでもかなりの要件があり、
実務経験が3年以上なければなりません。
それだけでも一定水準以上は期待できるのでしょうが、
それだけが受験資格要件ではないのです。

もう一つの要件が実務者研修を修了していること。
これは一言で言ってしまえば、自分がやっていることを
他人に対して言語化して説明できるということを意味します。
説明できるということは育成出来るということでもあります。
例えばイメージしてみてください。

自転車に乗れる方であれば、恐らくほとんど無意識に
普段は自転車をこいていることでしょう。
いちいち「しっかりとサドルに腰かけなきゃ」ですとか
「しっかりとハンドルを支えて、力み過ぎないように」
なんて考えてないでしょう。

恐らくほとんどの方が自転車に乗ることを意識せずに
道路の状況のみを見て、状況判断して移動しているはずです。
それくらい無意識で出来るようになっているということですね。
どういうことかと言えば、これが「習慣化」によるものだ、
ということなのです。

介護の業務に関しても恐らく経験豊富な方であれば
無意識でボディメカニクスなどを実践して、腰や手首などに
負担をかけないようにしているはずです。
それは繰り返し繰り返し実践してきたことによる経験則なのです。
しかしながら、自分が実践として取り組むのは出来ても
それを指導できるかどうかは別です。

先ほどの自転車の例を挙げると、自分が自転車に乗ることは
出来ても、それを言葉だけで説明して、他の人を乗せられるように
することはかなり難しいと分かるはずです。
それは自分にとっては出来て当然のことだから敢えてそれを
言語化する必要がないからです。

実務者研修というのはそういった意味で、普段行っている
介護技術の背景にある考え方や技術を知識として
身に着け、なおかつそれを実践していく研修です。
だからこそ、知識部分を学ぶ科目数も初任者研修と比べて
圧倒的に多いわけです。

当然知識だけではなく、実践も必要です。
特に医療的ケアに関してはまるまる2日間かけて実習するわけですが
それは利用者の命に直結するような行為であり、勤め先に
よっては一切普段経験することがないようなところもあるので
この2日間の実習を通じて、利用者の命に対してある程度の
責任を負える、技術を身に着けるためです。

しばしば、実務者研修の通学日数を削減してもらえないだろうか？
という受講検討者からの声を聞きます。
利用者の命をどのように考えているかで、そこは決まってくるでしょう。
もちろん資格を発行することだけを優先するのであれば
通学日数を減らすことも可能かもしれません。
しかしながら、いざ、現場に出て利用者の命に対して
責任を負う立場になった時に、医療的ケアなどを
実践をしていないために実力不足に陥っては本末転倒のような気もします。
何のために介護福祉士の資格を目指そうと思いますか？

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