日本には現在様々な支援を必要とされている方が多数いらっしゃいます。私たち、介護士が支援する方は主に介護を必要とするご高齢の方、もしくは障害をお持ちの方です。まだまだ世の中には支援を必要とする方が多くいらっしゃり、手が足りていないのが現状です。ユースタイルラボラトリーでは未経験の方の採用、教育を積極的に進めており、数多くの介護人材をご利用者様の支援にあたって頂けるよう日々尽力しております。

　そしてユースタイルカレッジでは「教育」に重点を置き、日々教室を開講しております。では介護人材を作るにあたり、教育がなぜ重要になってくるのでしょうか。もちろん、介護は専門職になりますので、専門的な技術、知識が必要となっていきます。現場の中でOJTで教わることも多くあります。それでも私はOJTのみの教育では足りないと考えています。それはなぜか。今、介護業界において問題となっているのが、「虐待」です。

　虐待というと、殴る、蹴るといった暴行が頭に浮かばれるかもしれませんが、その他にも数多くの虐待行為、もしくは虐待につながる恐れのある「不適切なケア」というものが存在します。その被害者となられる方の多くが、「認知症」や「知的障害」「精神障害」などをお持ちの方々です。家庭や施設などからの虐待の報告はあとを立ちませんが、それはあくまでも氷山の一角でしかありません。相手が不快に思うような不適切なケアを含めれば、それは数えきれない件数になってしまうでしょう。ではなぜ虐待が起きてしまうのか。

　虐待の発生理由として皆さんが真っ先に思い浮かべるのは「人手不足」かもしれません。けれどもこの理由は全体の20％にも満たないという調査結果が出ています。最も多い理由は「教育不足」なのです。認知症や知的障害をお持ちの方は一見するとコミュニケーションが難しいように感じます。けれどもそういった方々は脳の障害により、少し違う世界観の中で生活されているだけなのです。またユースタイルラボラトリーでは障害＝個性であると捉えています。介護者が自分都合で介護を行おうとすると、お互いの個性にズレが生じてきます。そこに介護者はイライラしてしまい、虐待のような行為が発生していきます。で皆さんは、相模原の「津久井山ゆり園」の事件を覚えていらっしゃいますでしょうか。元職員であった被告が「障害者はこの世に必要ない」といった身勝手な理由で、動けない方から順に深夜に多くの方の命を奪った事件です。恐らくこの事件の根底にあるのが「優生思想」なのではないでしょうか。より優れた者にのみ価値がある・・・障害＝劣っているということになるのでしょうか。その考え方は少なくとも介護に携わる人間としてはNGであると思います。先ほども申しましたが障害＝個性なのです。

　もし介護者が利用者が自分の言うことを聞かない、スケジュールがあるのに自由にしてしまっているので困った・・・と考えてしまったとします。ここがまず根底から間違っているかもしれません。認知症や知的障害の方にコミュニケーションが足りず、自分をまだ覚えてもらってないかもしれません。あなたならもし、よく知らない人にあーでもない、こーでもないと指図されたら素直に従いますか？けれども、ここにコミュニケーション方法や障害、病気に関する知識、技術が加わるとどうでしょう？相手はあなたの話を聞いてくれるようになるかもしれません。

　聞かせる　と　聞いてもらう　では全く意味合いが違ってきます。聞かせてばかりいれば、それは弱者と強者の関係性に他なりません。弱者と強者など存在しません。ノーマライゼーションの理念に基づき、介護に従事される方々は常に平等にお仕事をして頂きたいと思います。すれ違いによるイライラを生み出さないためにも「教育」、受けてみてはいかがでしょうか？

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