新型コロナという人災により、これまで取り組んでいた
仕事をしぶしぶ辞めざるを得ない状況に追い込まれてしまう
人は非常に多くおりました。
そのため、その人たちは転職活動を求められたわけです。
そんな時に注目を集めたのが介護業界。
ビジネスとしての今後の可能性を考えてみると日本最大の
マーケットを相手にしているビジネスだということが出来るからです。

これから先ますます市場拡大が見込まれているというだけでなく
まだまだ実際に介護業界で仕事をされる方の人数が
圧倒的に不足しているという供給不足の状態はビジネスにとっては
非常においしい状況だと言えるでしょう。
もちろん、全くの無資格者がいきなり介護の仕事に従事しようとするなら
有資格者のいる施設で働くという選択肢もあることでしょう。
しかし介護自体がこれから在宅中心に移行してきています。
だからこそ、短期間で訪問での介護を提供になる資格が
注目を集めているのです。

重度訪問介護従業者養成研修統合課程。ちょっと長い名称ですが
この資格はたった3日間で取れる介護の公的な資格であり、
この資格を持つことにより、利用者宅へ訪問して介護サービスを
提供することが出来るようになるのです。
そして訪問系のお仕事をされている方々からよく耳にする
問題点、それは「稼げない」ということ。

いわゆる高齢者の訪問介護に入るようなケースで言えば
1回のサービス提供時間が30分からせいぜい1時間程度。
なので1日に5～9件程度は掛け持ちしないとなかなか
まとまった収入になっていかないということですね。
それに対してこの重度訪問介護従業者養成研修統合課程、
実はちょっと違います。

この資格で入ることが出来る現場はあくまでも重度障害を
負っている利用者宅へ限定されます。
そのためか、大体利用者側の要求として1回のサービス提供時間が
8時間から12時間という比較的長時間になります。
だから安定した収入になりやすいのです。

たった3日間で取れる公的な資格ということもあり、
毎回受講される方々の約半分は介護未経験です。
しかもどうしても介護に生きがいや魅力を感じてきて
受講するというよりは、単純に収入を得るための手段として
介護を検討しているというだけだったりします。

良い悪いではなく、そういう方々が受講されているというだけです。
正直、統合課程を見ていて感じるのですが、受講生の
問題ではありません。社会構造上の問題です。
なぜなら受講生の誰もが「介護」についてイメージはあるものの
それが「自分ごと」になっていないというだけだからです。
自分の生活には直接は関係ない、そんなスタンスだからこそ
ちょっと距離感が生じているものなのです。

ですので、実際に受講される方が研修終了後におっしゃられる言葉で
印象的なのが「利用者さんって普通ですね」なのです。
これは無意識に利用者、すなわち重度障害を負っている方は
私たちとは違う人間なんだ、という思い込みがあることを意味します。
差別しようという意識ではないかもしれません。
ただ、無意識に差別しているのです。
従って、この自身の差別意識に気付いて泣き出す方もいます。
気付ければ、そこから変えることは出来ます。
たった3日間かもしれません。しかし大きな変化を生じされるきっかけにはなることでしょう。

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