今日、7月26日という日付は介護職員にとって自身の
在り方を考えさせられた事件の発生日だったと言えるでしょう。
2016年に入所者45名が殺傷された津久井やまゆり園事件。
「障害者を人として扱っていない」。そんな無意識レベルの
優生思想に裏打ちされた植松死刑囚の凶行により
引き起こされた痛ましい事件でした。

私が出ている現場では絶対にそんなことはない！
と自信を持って断言される介護職の方がほとんどだとは
思いますが、ちょっとここで植松死刑囚の思考を
追っていくことで、自分自身の優生思想をチェック
してみましょう。

植松死刑囚が凶行に及んだ原因は自身で語っているように
「優生思想」に裏付けられたものでした。
「私の目標は重度重複障害者の方が家庭内での生活，
及び社会活動が極めて困難な場合，保護者の同意を得て安楽死できる世界です」
「障害者は不幸を作ることしかしません。障害者を殺すことは
（人類の）不幸を最大まで抑えることができます」
これらの言葉からも読み取れるように自らが
人の命の優劣を判断し、劣勢と判断したものを
処分しても問題ない、という思想と言えるでしょう。

さて、介護職であるからには限りませんが、少なくとも
介護職員として仕事に従事していくのであれば
自身の優生思想に関してしっかりと意識してコントロール
できるようになる必要はあることでしょう。

「私には全く差別意識などない。同じ人間の命を
価値があるとかないとか評価すること自体が異常だ」と
言ってしまえば簡単ですが、そうは言っても残念ながら
人間である限りほとんどの人が優生思想を持っていると
言えるでしょう。

例えば実際に植松死刑囚の考え方に関していかがでしょうか？
「こんな異常者の考え方なんて自分には全く理解できない」
となっていませんか？
なぜ理解しようとさえしないのでしょうか？
実はそこにこそ優生思想の根幹があるような気がします。

結局頭でどのようなことを考えていたとしても
実際に評価されるべきは行動です。
ですので、どれだけ差別的な優生思想を持っていたとしても
その優生思想に裏打ちされた行動をとらずに、誰に対しても
平等に対応するような行動しかとっていなければ
その人の評価は決して悪いものではないはずです。

逆に頭では非常に人を思いやるような優しい考えをしていて
「みんなで仲良く幸せになっていける社会を作りたい」と
毎日のように主張していたとしても、実際に
植松死刑囚のような凶行に及んでいたらどうでしょうか？
その人のことを良く評価出来ますか？

もし、植松死刑囚の考え方を「異常だ」として否定するということは
あなたが基準となって「異常」と判断した人に対しては
罰則を与える可能性があるということですね。
しかしながらあなたの考え方に完全に一致するばかりの人ではありません。
異なる考え方をあなたは「異常だ」と弾圧するのでしょうか？

そういう意味では今の日本国は新型コロナウイルス対策に関して
かなり一方的な考え方しか容認せず、それ以外の対応を取ろうとしている人を
弾圧しています。
つまり国自体が優生思想に裏打ちされた差別国家に成り下がったということです。

どんな考え方であっても考え方としてはありと受け入れる。
ただし、その考え方に基づいて動くかどうかは自己責任。
そんなところなのではないでしょうか？
それこそ犯罪心理学やプロファイリングの本などを読むと
あまりの異常さに目をそむけたくなってしまうことさえあります。

ただ、それを繰り返すと、逆に考え方を受け入れるということに
ついてはものすごく懐を深く持つことも出来るようになるのです。
結局自分がどのように振舞うのか？
その行動でしか評価できるものではないということですね。
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