「すべての人に平等な環境があるべきだ！誰一人差別されてはならない」
というと非常に耳障りの良い表現のように思います。
いわゆる介護の世界で言われるノーマライゼーションというのは
そんなきれいごとを表した指標の一つと言えるでしょう。

ノーマライゼーションとは「標準化」や「正常化」と訳される言葉であり、
障害者や高齢者などを含めた社会的弱者と言われる方々を特別視せず
誰もが平等な生活を出来るような社会を構築する動きを表します。
確かにお題目としては理解できるのですが、違和感も同時に感じます。

ちょっと想像してみてください。概念とはあくまでも対立によって生じます。
「悪」があるから「正義」があるのであり、「下」があるから「上」がある。
ビジネス面で言えば同じような商品やサービスであっても「安い」ものがあるから
「高い」ものが存在する、ということです。

では「ノーマル」があるということはどういうことでしょうか？
当然その対立であるところの「アブノーマル」が存在することを意味します。
ということはノーマライゼーションという表現を用いる限り、現在の社会は
アブノーマルの異常な社会だ！ということになるわけです。
都知事などはアブノーマルな社会を構築しましょう！と言ってしまうと
たたかれると判断してか「ニューノーマル」などという造語で逃げていましたが、
対立軸でとらえる限りはそのような状況になります。

結果として、対立軸にすると相手方を抹消するという動きが生じるわけです。
もともとノーマライゼーションの提唱には対立に基づく差別を解消するため
という経緯があったわけですが、結果としてそれは単なる新たな争いを生じさせる
きっかけに過ぎないように思えてしまうのです。

介護業界と関わっていて常に感じるのは「介護業界自体が非常に嘘に
まみれている」ということです。だから恐らくですが、所属する方々も
パフォーマンスを発揮出来ていないのでしょう。
嘘に潜在意識のレベルでは気付きながらも、自分を騙しつつ、介護に取り組む。
当然自分の本音を偽りながらやる、ということは嫌々ながら取り組みますので
パフォーマンスも下がる、というわけです。

なぜ「嘘にまみれている」と言えるのかと言えば、介護の基本理念が
「自立支援」だからです。これは自立というその人自身の人生を
歩んでいくことを支援することを意味します。
つまり一人一人の人間をカテゴライズせずに向き合いましょう、ということです。
これはわかります。ところがそこへ「ノーマル」だとか「アブノーマル」
「障害」や「健常」、「壮年」や「高齢」を持ち込み、対立軸を
生み出しているのです。

カテゴリーを取っ払って観察してみましょう。例えば目の前に80歳を超えている
男性がいるとします。日常生活には何不自由はありませんが、
日々手持無沙汰です。となったらどのような支援をすればいいでしょうか？
「生きがい」として何か仕事をお願いする、という選択肢を考えることが
出来るでしょう。
恐らく「現在は自由に手足を動かせていても、衰える可能性があるから
日々トレーニングをするように支援しよう」ではないはずです。

もちろん本人がトレーニングを望んでいるのであればそれはいいのでしょうが、
人それぞれ感じている問題は違います。ということは支援の内容も
人それぞれです。
あるいは現在会社勤めの方で現役でしっかりと仕事をしている方がいたとします。
その方は忙しすぎて、家族と一緒に過ごせないことで悩んでいるとします。
何を支援すればいいでしょうか？

その人がいる部署であったり、会社自体が勤務体制を見直したり、
仕事の在り方を改善することで家族と過ごせる時間を作る、
ということではないでしょうか？
お分かりですか？カテゴリー分けをすると前者は「高齢者」であり、
後者は「壮年」の若者になりますが、誰しもが問題や悩みを抱えてはいるのです。

ということはカテゴリー分けをしなければただ単に目の前の人が
何を問題として抱え込み、それをどのように解消したいのかが
わかるということです。
そして、その問題を解消できる人が対価を得ながらその問題を
解消すればいい。

いちいちきれいごとやヴィジョンをお題目に掲げなくても、人として
目の前の相手と真摯に向き合ってさえいれば、もっと言ってしまえば
対立しようとしなければ、そもそもノーマライゼーションなどという
妄言も生じないわけです。
これは裏を返せばそれだけ私たちが差別や対立を潜在的に望んでいる、
ということを意味します。

だからこそまずはそこに気付き、相手と真摯に向き合う努力をしてみる。
「人は相互理解できるものだ」という誤解があります。脳の特徴から言っても
それはほぼ不可能です。だからこそ日々チャレンジになるわけです。
ユースタイルカレッジが決してセールスをしない、というのには上記のような
背景があります。

目の前の人と真摯に向き合い、例えばその悩みや問題を解消出来るのが
資格取得だとしても、当社で受講することが必ずしも最適な解決手段とは
言えないケースもあるからです。
だからこそ、あくまでも情報は提供することはあっても最終判断は
ご自身に委ねます。なぜなら「自立支援」が基本理念だからです。

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感じている悩みや問題は人それぞれだからであり、その人の
問題を解決するのに金額面が必ずしも最適解とは言えないケースもあるからです。

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